ルベウスはデキウスの体調を数日観察し、眠りに戻るタイミングや目覚めているときの様子から、今暫し多少の負担には耐えられると判断し、やりのこしていると認識していることを実行することにした。 一応、鎮痛の香や麻酔効果のある…
【魔13】 お題『かまって欲しいなら素直に言え』
何度言ってもルベウスは放っておくと床で寝る。聖界にいた頃からの癖が抜けないのと、本人が書物さえあれば眠る環境にあまり頓着しないということもあるのだろうが、デキウスにとればどうしてこんな有能な男が、何度言ってもベッドに寝…
【魔10】 お題:『雨の日の約束』 【R-18】
デキウスは浅い眠りから目覚め、雨の音と湿気と些か下がった気温に気づいた。そういえばこの魔界でも雨が降るのだと気づいたのはまだ最近だ。それまでは自分以外のことに意識が向かなかったこともある。今までは朝なのか夜なのかさえわか…
【10/10】 ルーフェロの夜 1-2 【R-18】
一つ前のお話はこちら>>http://crystaros&…
【魔02】お題
お題 ①つないだ手を離さないで/②毎日キスをする夢を見る/③その感情の名前 聖界で大規模な叛乱が起こり、のちに聖戦と呼ばれ壮麗な城を頂く魔界が誕生するが、その戦いの直後は決して華々しい幕開けではなかった。 …
【魔12】 お題『吐いた嘘を見抜いてしまう、貴方が嫌い』
デキウスはうつぶせになった姿勢で頭だけを捻り、視界に入ってくる範囲でルベウスの動きを目で追っていた。 ルベウスが背に滴らせている血が傷口へと呑み込まれていくと、実感として痛みが和らぎその部分が温かく感じられる。古代竜種…
【魔11】 『そんな声で呼ばないで』
己の腕を切り裂いてデキウスの背中の翼の痕跡に血を滴らせ、傷口が血の一滴も残さずに綺麗に呑み込んでいくさまを見守る。本当ならば一日で言葉を交わせる程度の時間のはずだが、数日前に彼に煽られるまま自制を失って負担を強いてしまい…
【魔14】 フェイク 【R-18】
空からテラスへと舞い降りた黒い翼が背に消え、八重咲きのガーデニア(梔子)に似た甘く濃厚な香りが殺風景な部屋を彩る。解毒の作用があると聞いて手に入れてきた花は、薔薇を思わせる八重の花弁と清楚な姿でありながら、香りはむせか…
【魔01】地の底で嗤え
デキウスが最初に感じたのは視界の暗さだった。 聖戦はルーフェロが魔界に下ることを選ぶことで、大きく戦況が変化したのだ。 清浄な光に満ち溢れた天界に比べての暗さではなく、それが激痛ゆえだと気づくのにかか…
【魔08】 代わりになるもの 【R-18】
主人にデキウスの回復具合を尋ねられ、闇に回復を任せて眠り続けていること、血を与えていること、傷口が癒えないことなどを話した。腐食性の穢れの嚢胞が傷の中に残っている可能性や、いくつか思い当たることを対処のアドバイスとしても…