黒と赤

 小説

海狼と薔薇2 邂逅2

 ──レハイム、お前は当家の血を継ぐ者として、金ではなく名誉を、地位ではなく誇りを手にせねばならない。家名を汚さず、一族を支え、誰もが当家の誉れと呼ぶような人物になることが、家督を相続できぬお前に課された義務だ。  はい…

海狼と薔薇1 邂逅1

人が眠りを死と近しいものだと感じることがあるならば、ヴェレッドの昼の眠りは殆どそれと同然だと言ってもよかろう。  棺に納められた死者が二度と身動きしないのにも似て、穏やかに伏せられた睫は震えることすらせず、眠りについた姿…