ルベウスは、自分の寝起きしている場所がお世辞にも整然としているといえないことは承知しているが、デキウスの部屋に比べればなんと混沌としていることかと改めて思わざるをえなかった。それほどデキウスの部屋は何もなく、白い殺風景…
【聖47】 お題:「眠りにつく前に」
ルベウスは聖遺物の倉庫と個人的なスペースをかねた、自分の薄暗くも心地よいねぐらに、肌も髪も白い大柄な男が当然のように場所を占めている風景に幾分慣れたなと思っていた。 そしてこの男は会話を愉しむためというよりも、体の一部…
【聖45】 【11/18】お題「教えてあげる」
返り血を浴びて魔物を斬り捨てている時の方が揺るぎ無く冷静で、一筋の感情の乱れも見られないのは、聖族としてどうなのだという笑いが込上げてくるのを感じながら、目の前の男を見る。 薄青の酷薄に見える双眸が自分の心の奥底まで…
【聖46】 お題:「こんな気持ち知らない」
寝た相手を抱きしめて寝ることなどないも同然で、むしろ行為が終われば次の相手を探しに行く程度に今の相手のことはもう頭にない。相手も恐らく同様で、『仕事』として以上に誰かの寝台を温めることはないだろう。 なのに上気した頬で…
【聖43】 「じゃれるように」「指を絡める」。キーワードは「主従」
巷ではルベウスがシャリートの子飼いであることは周知の事実であり、彼が主人の命で閨の仕事までこなすことから、その主従関係に肉体的なものまであると暗黙のうちに思われていた。 ルベウスは尋ねられれば否定するが、相手がそれを…
聖33-2 【9/29】
許されるタイミングがあれば触れ、唇を重ね、情を交わすのが日々を占めはじめたころ、デキウスはルベウスのある表情に気付いた。 恐らくそれは自分しか気付かないであろう、熱の低い薄蒼の眸のさらに奥で揺れる僅かなものだ。そこま…
聖21-1 お題【9/23】「言えるわけが無い」
ルベウスはフィディウスの命を受けて、デキウスに今更ながらの施設の案内と規則の説明をしていた。そんなものはデキウスが聖界に迎えられた当時にフィディウスが一通り説明し終わっているのはどちらも承知していたが、ルベウスに任され…
聖33 【9/13】お題
お題『ねえ、好きだって知ってた?』、を二人らしくやってみた… 主人に呼び出され、今日ほど御前に行くのがあれこれと躊躇われたことはない。いっそ仕事に失敗したとか上手く進んでないと報告するほうが、気が楽なことが…
【聖42】お題『わかりやすいけれど、わかりにくい』【R-18】
デキウスは娼館でつるんでいる知り合いから、にやにやと笑いながら「で、ルベウスの接待は受けたのか」と尋ねられ、思わず眉を上げた。 「接待されるいわれはないが」 「随分と付き纏ってるじゃないか。頼めば一度ぐらい応じてもらえ…
【聖38】翼に触れて【R-18】
デキウスの翼は美しい。そう一言で言ってしまうと惜しいのだが、何かに例えるよりもそのシンプルな言葉が一番相応しかった。 大きな翼を持つものは他にもいるが、戦天使としての力強さと左右に広げた時の荘厳さは、さながら地上の宗…