共に過ごした時間は長い。人間で言うならば、何度も転生を繰り返し、巡り会った時間だ。 だがそれはあくまで人間の概念であり、聖族も魔族もそこに特別な意味を重く置くことはない。価値がないわけではないが、『寿命…
【20170813】Can’t wait 「待ちきれない」
湯船で温まりすぎた肌に、心地よくひんやりとした手が絡みつく。 帰ったという挨拶がないのは今更だが。 誰のものともしれぬ紫煙と香水を髪にまとわりつかせたまま、振り向こうとする俺の頬に唇を触れさせる。自分の足元…
【20170408-2】バニラ
夜会の時間を過ごした独特の香りをまとって、ルベウスが戻ってきた。見惚れるようなしぐさでカフスを外してくつろごうとする手首を捉えて、我がままなほど身勝手に抱きしめ、そのまま床へともつれ込む。 「皺になる」 苦笑を混じらせた…
【20170408】いざなう
ある日、柴さんから「この服をきて、胸がバーンとしてる領主を描いてくだちゃい」と写真が投げられてきました。女性のビスチェみたいな服です。それを筋肉マッチョに着せろというww 私は筋肉を描くのが苦手です! だい…
1周年記念小説 【R-18】
倦怠や退屈という感覚は、淀んでまとわりつく水が何かをゆっくり腐らせていくのにも似て、それを感じると波立たせて足掻きたくなるのが常だ。 オディール島の黒鳥城は旧五神の一人があるじで一年の殆どを不在にしているが、人間との共…
【10/5】労わる
暫くナハトメレクの城にいる、とルベウスは言った。それが仕事であることは承知している。そして会いに行くために遠い距離でもない。 一緒に来いとか、訪ねて来い、と言わぬ男だ。 寝台が無駄に広く…
【11/30】全てで知る 【R-18】
乱れる吐息で、掠れた囁く声で、手のひらに感じる汗ばんだ肌で、熱く絡みつく中で、そして穿つ楔で。 どちらが自分のものかわからないぐらいに混じりあって、どちらの快感がわからないほど融けあう。 そんな一瞬を知ってしまえば、他が…
お題『片思いなんて損してる』
ルベウスはジレの隠しに続く銀の鎖を引き出して懐中時計で時刻を確かめると、竜頭部分を押して音を立てずにそっと蓋を閉めた。指が離れた竜頭に埋め込まれたルビーが、窓から入ってくる夕刻の赤い光を反射して一層紅く光る。 デキウ…
【1/23】ゲーム(イラストより)【R-18】
テネブラエ城の書斎の隣の部屋は、ルベウスが勝手に自室めいた空間にしつらえた部屋で、聖界時代のように奔放に本を床に積み上げ、円陣を描くように並べた中央には、心地よいクッションがいくつも置かれていた。 いつもはそこでルベウ…
お題:「うちの子にエロい顔をさせる」 【R-18】
顔をあげて遠く視線の定まる先にある、発光魔石で彩られた繊細な装飾照明が、一つの汚れもないテーブルクロスの上に置かれた酒のボトルの色のついた影を落とす。枝分かれした照明の先端につけられた微細にカッティングされた発光魔石の数…