暫くナハトメレクの城にいる、とルベウスは言った。それが仕事であることは承知している。そして会いに行くために遠い距離でもない。
一緒に来いとか、訪ねて来い、と言わぬ男だ。
寝台が無駄に広く、よそよそしい場所になるにも関わらず。
しょうがないので、俺が行ってやろう。
前触れもなく、突然に。
夜の帳に紛れて、その身体を抱きしめるために。
そして案の定、眉間に神経質そうな皺を寄せて苦悩したように伏せる男を見つける。
だから連れて行けと言うのだ、と苦笑しながらそっとくちづけると、少し離れていただけで懐かしい花の香りがした。
後ろからそっと手を廻して抱くと、苦い眠りが穏やかに融けて、眠っていながら緊張を感じる身体が緩むのを感じる。
狂おしいほどに抱きたいが、夜明けまで待ってやろう。
おやすみ、我が友よ。